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Kintsugi

直して使う

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金継ぎ教室に通ったことがある。漆は湿度70~90%、温度10℃以上で硬化すること、継いでいるのは漆で金は表面に蒔いてあること、工程ごとに1週間ほど室に入れ漆が固まるのを待たなければならないこと。お手軽な金継ぎは接着剤を使ったり金の純度も低いことを知る。きちんとした修復にはかなりの手間とそして自然硬化をまつ時間とそれなりのコストがかかる。当時、サラリーマンの僕が自分でやるにはいささかスローであったが、本物の作業を知る良い経験だった。
 

ーーふた月前、手を滑らせ茶碗を割ってしまった。20年ほど使っているお気に入りの茶碗だ。
もちろん捨てるという選択はなく、金継ぎすることにした。さて、どこにお願いするか。本物の手法を知ったからには半端なことはしたくない。お気に入りだし。散歩の折に見かけていた、大徳寺門前の漆芸店ならきっと間違いないだろう。秀吉と利休ゆかりの茶の本場ですから。いささか敷居の高さを感じながらも思い切ってお願いすることに。待つことふた月。仕上がりは想像以上。魚の図柄にかかる継ぎ目も同じ金で丁寧に加筆してある。ひび割れ後は水草のようにも見える。傷をも新しい景色にしてしまう職人技とセンス。生まれ変わった茶碗にまたまた新しい愛着が湧いた。
ところで、金継ぎって英語で" Kintsugi"なんですね。漆は" Japan"だし。日本オリジンです